専門用語のリスト:リッサウイルス感染症

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リッサウイルス感染症
リッサウイルス感染症は、ラブドウイルス科リッサウイルス属に属するウイルスによって引き起こされる感染症であり、狂犬病ウイルス以外のリッサウイルスによるものを指します。主にアフリカ、東西ヨーロッパ、オーストラリアなどに生息するコウモリが感染源となります。以下に、リッサウイルス感染症に関する詳細な情報を提供します。

●疫学
リッサウイルスは、アフリカやヨーロッパ、オーストラリアなどで生息するコウモリから分離されています。現在、リッサウイルスには狂犬病ウイルスを含む7つの遺伝子型が報告されており、新しい遺伝子型も発見されています。これらのウイルスはコウモリから分離されており、特に中央アジアやシベリアなどで新しい遺伝子型が見つかっています。
●病原体
リッサウイルスは、マイナス鎖の1本鎖RNAをゲノムにもつラブドウイルス科リッサウイルス属に属するウイルスです。ウイルス粒子は直径75~80 nmで、「弾丸」様の形状をしています。ウイルスの成熟粒子はゲノムRNAと少なくとも5つのウイルス蛋白から構成され、構造的にヌクレオカプシドとエンベロープに区別されます。リッサウイルスは強い神経親和性をもち、感染と伝播はG蛋白質に対する中和抗体で抑制されます。
●臨床症状
リッサウイルス感染症の臨床症状は狂犬病と類似しており、発熱、食欲不振、倦怠感、四肢の疼痛や掻痒感、咽頭痛、知覚過敏などの初期症状が現れます。これに続いて興奮性の亢進、嚥下困難、発声困難、筋痙縮、中枢神経症状が進行し、最終的には昏睡状態となり呼吸停止と死亡に至ります。標準的な潜伏期間は20日から90日であり、咬傷部位や数によって期間は異なります。
●病原診断
リッサウイルス感染症の病原診断は、臨床症状からは難しいです。検査は主に抗原検出と遺伝子検出が行われ、これによりウイルスの特定が可能です。遺伝子型の特定は分離されたウイルスの遺伝子型を決定することで行われます。
●治療・予防
リッサウイルス感染症に対する特異的な治療法や予防法はまだ存在しません。患者への対応は基本的に狂犬病のそれに準じます。発症予防や感染が疑われた場合の曝露後のワクチン接種には、狂犬病ワクチンが使用されます。しかし、現在のところリッサウイルス感染症のための専用ワクチンや免疫グロブリンは存在しません。

感染リスクの高いグループには、ウイルス検査に携わる専門家や研究者、コウモリの専門家、コウモリを扱う研究者などが含まれます。リッサウイルス感染症は狂犬病と同様に、患者に対する特異的治療法がないため、精神的な支援が必要です。



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